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ノアトロ定食

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2005年 09月 29日

京都旅①「柊屋旅館」。

京都の三大名旅館といわれる「俵屋」「炭屋」「柊屋」のいずれかに泊まってみたいというのが、今回の旅の大きな目的。どこにしようか迷ったのだが、母が以前「柊屋」で60年間仲居さんをやっていた田口八重さんのエッセイを読み、感銘を受けたというので、「柊屋」を予約した。
京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_1753492.jpg
三条大橋近くの町屋が残る風情のある一角に、ひっそりと佇む門構え。文豪・川端康成や三島由紀夫、林芙美子たちに愛された宿。
京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_17594230.jpg
玄関の上がり框にかけてあるのは「来物如帰」(来たる者、帰るが如し)の有名な額。かんげきー。
その心が浸透しているかのような、大げさではない温かいお出迎えに、緊張の気持ちがほぐれていく。


京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_1853235.jpg京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_1864027.jpg
京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_187399.jpg8畳ほどに濡れ縁の付いた、風情のあるお部屋に通される。そしてなんとこのお部屋、川端康成さんがいつも滞在されたお部屋と聞いて、またもや感激。
母はさっそく自分のデジカメでお庭の撮影。



←縁側越しに見える部屋付きのお風呂の外には、愛らしい提灯がやわらかな光でお庭を照らす。

京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18173495.jpg京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18174243.jpg
お楽しみの夕食は、松茸や鱧、京野菜など丹精込められた一皿一皿。奇をてらった盛り付けは皆無。そして、すべてが文句のつけようのない優しいお味。

京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18233363.jpg京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18234115.jpg
左/何十年もここにあったと思われるお道具が部屋のそこここにさりげなく並ぶ。  右/瓢箪型の漆塗りの照明スイッチ。こちらも昭和初期に作られたものだとか。ナイトキャップの文庫本は何回も読んだ池波正太郎さんのエッセイ。
生粋の江戸っ子でありながら、京都を愛してやまなかった池波さんに思いをはせて。(すぐに寝ちゃいましたが。)

京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18313283.jpg文明開化の香りのするロビー。外国人のお客さまが静かにくつろいでいた。
京都旅①「柊屋旅館」。_e0038241_18373077.jpg
母はロビーの片隅のPCで当ブログのコメントチェック。balmamaさんの「お母様、夏木マリに似ている」の勘違いコメントに、本人は大喜び。
ちなみに母は毎朝毎晩、私のブログをチェックするだけでなく、LINK先に行くことも覚えたらしい。そうとう詳しい。(以下、実話コメント)

「チャチャくんは、茶色いフラットで、お庭をきれいにガーデニングしているお家でしょ」
「アンリちゃんはゴールデンで、手術をしたコよね。ネコちゃんの里親は見つかったのかしら」
「エフちゃん?あ、この間、お父さんがいらして大喜びしていたコね」
「ジェミニのおうちは、またキャンプに行っていたみたいね。毎週すごいわねー」
「紗羅ちゃんのおうちは、お洋服代が大変ねー」

・・・・・だってさ。私よりもすごいんじゃないかというぐらいの更新チェック。ボケ防止になってるかも。



話がそれましたが、柊屋。
たとえば、朝食前にお散歩に行こうとすると、旅館の方とは誰ともお会いしていないような気がしていたのに、いつの間にか玄関に靴が並んでいる。
お散歩から帰ってくると、お顔を会わせた記憶のないフロントの方が、にっこりと「ご朝食は8時でよろしかったですよね」と声をかけてくる。
部屋出しのお食事は、どこかに隠しカメラが付いているのではないかと思われるほど、タイミング良く次のお皿が運ばれてくる。
お道具類もしつらえも、必ずしも豪華なものではないように思われるのだが、昔からのものが大切に使われている。
すべてがさりげなく、押し付けがましいモノやコトがひとつもなく、ゆったりと時間が流れ、心からくつろげる。
京都の粋とかおもてなしというものの真髄を体験できたような気がする、ほんとうに素晴らしい宿でした。
帰るときには、担当の仲居さんやおかみさんが、私たちの姿が見えなくなるまでずうっと、いつまでも玄関先で見送ってくださいました。


ここに2泊とも考えていたのですが、懐石料理のフルコースを2夜連続こなす自信がなかったので、もう1泊はホテルを予約しました。ちょっと惜しかったかな?

by cindy0818 | 2005-09-29 20:00 | イベント・旅行・お出かけ


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